FC2ブログ

Wylde Swan 1920 (ワイルド・スワン 1920)

Wylde Swan POS rear qtr

このオランダ船籍のトップスル・スクーナーの船名は、現地の発音ではウィルデ・スワンとなるのでしょうが、表題は英語読みにしてみました。Wylde Swanは、世界最大の2本マスト・トップスル・スクーナーだそうです。全長203ft(62m)、全幅24ft(7.3m)、マストの高さが141ft(43m)、269Gross Tonのサイズです。驚くほど巨大な鋼鉄製のスクーナーで、長いメインマストのブームが迫力満点です。展帆した姿をいつか見てみたいです。

WS and MS from Air

上はドローンで上空から撮影した写真です。横に停泊しているMorgensterと比較すると面白いです。モルゲンスター の全長157.5ft(48m)と差がよく分かると思います。バウスプリットの長さも特徴的です。

Wylde Swan Bow

如何にも速そうな船首の形状です。この船もご多分に漏れず、1920年に建造された時はドイツの機走漁船でニシン漁に従事していました。その後、Ursula, Bromberg, Harriet, Are, Gaupoy, Jemoと船名が変わり、2010年に2本マストのトップスル・スクーナーに改造されました。早速2011年のThe Tall Ship RacesのAクラス・カテゴリーで総合優勝を飾っています。この帆船はスクーナーであってもLOA(Length overall)が40m以上なのでAカテゴリーなのですね。

WS Bow View

Wylde Swanの船首はこのような感じで如何にも快速艇です。スターンも中々雰囲気があります。今回、この帆船の船上見学は出来ませんでしたが、隣に停泊していたMorgensterのデッキからじっくり観察しました。

WS Stern

スクーナーにしては目が眩むほど高いフォアマストです。ロープのラットラインですが、一定間隔でラットボードが取り付けられており、練習船らしい気配りがされています。

WS Foremast

Wylde Swanの母港はオランダのMakkumですが、オランダは海洋国らしく数多くの帆走練習船があります。この大型スクーナーの後ろ姿もなかなか美しかったです。

WS POS Stern View

テーマ : 帆船紀行 - ジャンル : 旅行

Artemis 1926 (アルテミス 1926)

Artemis cruse

ギリシャ神話の女神Artemis(アルテミス)の船名からは詩的なイメージを想像しますが、如何にも前身が鋼鉄製の漁船であったような船型です。この帆船は1926年にオスロ近くのNylands mekaniske verksted造船所で捕鯨船として建造されました。尤も進水時の船名はPol IIでした。

Artemis Deck

上の写真は隣船からアルテミスの船上を撮影したものですが、甲板材が張られているのは中部甲板と操舵室の前方の一部であり改造されて帆船になった風情があります。193.5ft(59m)、船体長153ft(46.7m)、全幅23ft(7.05m)、321Gross Tonのサイズですので3本マストのバーク型帆船としては小型です。

Artemis Upper Deck

戦前に建造された船ですので経歴を調べると面白いです。
- 1926年〜41年: Pol IIの船名で捕鯨船、のちに貨物船として活躍
- 1941年4月:ノルウェー海軍に傭船され掃海艇に転身
- 1942年:(ナチスドイツのノルウェー占領に伴い)英国海軍籍となりHMS Jeløyとして運用
- 1944年8月:英国海軍HMS Levanterと改名される
- 1946年:ノルウェーに返還されPol IIの船名に戻る
- 1948年:スウェーデンの船主に売却され貨物船に改造される
- 1950年:スウェーデンの別の船主に売却されListerと改名される
- 1967年:デンマークの船主に売却されArtemisと改名され貨物船として就役
- 2000年:オランダのFrisian Sailingに売却される
- 2001年:バーク型帆船に改造され現在に至る

Artemis Bow

船首を見るとバウスプリットは自然に感じですし、ドルフィン・ストライカーまで装着されていますが、この船がバーク型の艤装になったのは21世紀に入ってからなのですね。

Artemis Parade of Sail-1

Artemisは、スタヴァンゲルのイベントの間、毎日クルーズに出ていましたので狭い港内で大忙しでした。バースから眺めると中々面白い光景でしたが。下の写真は転回するシーンです。毎回見事な操舵でした。

Artemis arriving to Stavenger Port

テーマ : 帆船紀行 - ジャンル : 旅行

Alexander von Humboldt II 2011 (アレクサンダー・フォン・フンボルト II 2011)

AH-2 POS 1

この新鋭帆船は、1906年に建造され2011に引退したAlexander von Humboldtの後継としてドイツのブレーメン近郊のBVT BRENN- UND VERFORMTECHNIK造船所で2011年に竣工しました。下の写真は、スタヴァンゲル港に停泊中のAlexander von Humboldt IIです。朝焼けの中で薄い緑色に塗られた船体が映えています。

AH-2 Side Morning

このバーク型帆船の大きさは、全長213ft(65m)、全幅33ft(10m)、総排水量992tonで思ったより小型です。特徴は先代から引き継いだ鮮かなグリーンの船体とセイルで、遠くからでもこの帆船の識別は容易です。

AH-2 Figurehead

少し無骨な感じな船体ですが、フィギュアヘッドは女神の像で帆船らしい雰囲気です。スタヴァンゲルでこの帆船はクリスチャン・ラディックの横に停泊していましたが、残念ながら公開されていた時間が異なり船上見学は叶いませんでした。

CRadich and AH

この帆船の妙に太いミズンマストが気になっていましたが、じっくり観察してみるとこの理由が判りました。ミズンマストの先端にスタック(煙突)が装着されています。つまり排気がミズンマストの中の管を通る構造なのですね。

Ah-2 Stack

一緒のボートからパレードを見学したノルウェー人の旧友によると、2011年の帆船パレードでは、就航したばかりのAlexander von Humbodtが総帆を揚げていたとのことでしたが、今回はトップスルだけの展帆で残念そうでした。グリーンのセイルが印象に強く残っているそうです。

Ah-2 POS 2

テーマ : 帆船紀行 - ジャンル : 旅行

Morgenster 1919 (モルゲンスター 1919) その2

MS Figurehead

モルゲンスターのフィギュアヘッドは、シーホース(Sea Horse)に乗る女性像です。タツノオトシゴでは雰囲気が出ないので直にSea Horseと表記して見ました。錆びたストックアンカーは興ざめですが。

さてこの帆船の大きさは、 全長157.5ft(48m)、船体長128ft(39m)、全幅21.8ft(6.64m)、高さは95.2ft(29m)、総排水量225tonですので、極めて長いバウスプリットと高いマストが特徴です。

オーナーのCaptain Harry Mueterの言葉を引用すると「We gave Morgenster a clipper brig rig, as it was developed around 
1840(モルゲンスターの艤装は1840年頃に発達したクリッパー・ブリッグを模した)」とのことです。帆走している姿を見ると、往年のブリッグ型スループ艦のような雰囲気です。

MS POS quater back

この帆船はスタヴァンゲルの帆走パレードで特に目立っていました。順風微風にも拘らず他の大型帆船がほとんど展帆しない中で、フォア・トップスル/トゲンスル/ロイヤルスル、メイン・トップスルの横帆を掲げた見事な姿でした。

MS POS Bow

やはり帆船は港に停泊している姿を見るだけでは良さが判りません。帆走する姿でこの船の美しさを再認識しました。Morgenster =Morning Starの船旗もいい感じでたなびいていました。

テーマ : 帆船紀行 - ジャンル : 旅行

Morgenster 1919 (モルゲンスター 1919) その1

MS Rear View

このブリッグ(Brig)は、モルゲンスター(Morgenster)という名前の鉄鋼船です。1919年建造なので今年で99歳になりますが、建造当時の姿は全く異なっていました。この画像を見ると、遍歴が分かりやすいと思いますが、1919年当時はニシン漁に従事するラガー型帆船でした。建造当時の名前はVrouw Maria SC324です。

MS POS pool deck

その後、1927年に内燃機関が設置され、さらに1947年に船体を7m延長。1959年にはMorgensterと改名されました。船尾のマークは当時船橋に描かれていたのと同じデザインです。その後、1970年まで漁船として地味なキャリアを積み、その後は、Radio Delmareという海賊放送局の洋上ベースとなったりと波乱万丈の経歴を経て、現在の船首であるHarry Muterに買い取られ1983年より連続的に改修が行われました。そして四半世紀後の2008年にクリッパー型ブリッグとして生まれ変わったのです。

MS from Poop Deck

甲板は鉄鋼を灰色に塗装しただけですし、デッキ上の構造物も黄色に塗られて船体は幾分帆船らしい情緒には欠けますが、見上げると見事なブリッグ型の艤装です。頭上にカメラを向けるとフォアマストのトップ付近の人影がファインダーに入ってきました(黄色の矢印)。

MS Rigging

ズームレンズで焦点を合わせると、フトックシュラウド (Fiuttock Shrouds)からトップに登るクルーでした。セーフティ・ハーネスを着けていますが、見ている方がハラハラする場面でした。停泊中でもこんな感じですので、揺れる海上でのマストの作業は大変そうですね。

MS Foremast zoom

フォアキャッスルから見たバウスプリットです。無骨なウインチが雰囲気を壊していますが、元々は漁船ですのであまり期待してはいけないかもしれません。そういえば、錨も当然ストックアンカーでした。

MS Bow

モルゲンスターの記事を続けます。

テーマ : 帆船紀行 - ジャンル : 旅行