ユニコーン(SV Unicorn、1947)

Unocorn 1

僕がハリファックスの帆船パレードを見ていた桟橋の真横に停泊していた鋼鉄製の2本マストのスクーナーです。

ユニコーンが帆船パレードに参加するために桟橋を離れる時、近くに集まっていた人々から特に大きな歓声が上がりました。よく見ると、ユニコーンの乗組員達は全て女性、それもほとんどが高校生くらい女の子でした。とても統率が取れており、リーダーと思われる女の子の大きな掛け声に合わせて、整然と出航していきました。ユニコーンとはこの帆船に相応しい名前ですね。

そしてなんと、近くに集まっていた親御さん達と思われるグループに向けて、ドーンと礼砲が発射されました。小さな大砲を操作していた女の子の姿を見て、30年程前に繰り返し読んでいたアーサー・ランサム・シリーズの主人公達を思い出しました。物語で描写されているころから、ちょっと成長して高校生、大学生になったナンシー、ペギー、スーザン、ティティ達が目の前にいるような錯覚に捉われました。

ユニコーンは、Mrs.Dawn Santamariaという女性を代表とする非営利組織であるSisters Under Sailsが保有し維持している帆船です。全長118ft(36m)、全幅22ft(6.7m)、150トンのトップスル・スクーナーです。

Unocorn 2

この船は、元々1947年に捕獲されたドイツの潜水艦U-Boatの部材をリサイクルし、オランダGousluisのDe Vooruitgangという造船所で漁船として建造されたそうです。建造時の姿は現在の姿と違い、Deo Volenteという名前の無骨な機帆漁船だったそうです。公式WEBから建造時の写真を引用してみます。

Deo Volente I 1947

その後、32年の間に北大西洋の漁場で活動、何人ものオーナーを経て、1999年に現在のアメリカのニュージャージー州のオーナー、Mrs.Dawn and Mr.Jonathan Santamariaに引き取られ現在に至ります。母港はニュー・ジャージー州のクリントン(Clinton)です。上の写真と下の写真を見ると船型は確かに同じですね。船上構造、擬装は全く異なりますが。

Unocorn 3

ユニコーンは2003年にノバスコシアのルーネンバークで改装工事を行ったそうで、特に女性とティーンエージャーの女の子を意識した内装にしたそうです。下の写真は公式WEBからですが、船内も快適そうですね。先に紹介したピクトン・キャッスルにしても、このユニコーンにしても個人が帆船を購入し運営している例であり、北米ではさすがに帆船の伝統が生きていると思いました。

Unicorn Cabin

Unicorn Salon1 Unicorn Galley1

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ヨーロッパ(Europa、1911)

EUROPE 2

ヨーロッパは1911年にドイツ・ハンブルクのH.C. Stülcken & Sohn造船所で建造されました。

建造時の姿は今と全く違う筈です。進水時の名前はSenator Brockesで、ドイツ沿岸警備隊(German Federal Coast Guard)に所属し灯台船(Lightship)としてエルベ河口を中心に1977年頃まで稼動していました。

Senator Brockersは、1985年にオランダに引き取られ、8年間を掛けた改修工事が施されました。そして、1994年にヨーロッパと改名され、帆走3本マストのバーク型帆船として再出発しました。母港はオランダのハーグです。

全長185ft(56m)、全幅24ft(7.5m)、300トンと、3本マスト・バークとしては小型船で、ちょっと寸詰まりな感じがしますが、歴史を経てきた風格はなかなかのものです。

EUROPE 1

灯台船から帆船に改修された例として、ドイツのAlexander von Humboldtも有名ですね。この船も、元々Lightship Reserve Sonderburgとして1906年に建造され、1988年に3本マストのバーク型帆船として蘇った経歴があります。

EUROPE 3

ヨーロッパにしても、Alexander von Humboldtにしても、「(建造年は古いが)こんな帆船いつからあったかな」と思っていましたが、先に紹介したピクトン・キャッスルも含めて、近年になって帆船に改修されたケースもあるのですね。昔、アメリカ建国200年祭の帆船パレード(1976年)が開催されたとき「1976年にニューヨークに集まった帆船達は皆船齢が高く、大規模な帆船パレードはこれが最後であろう」とのコメントがあったと記憶しておりますが、当時の帆船も30年以上経っても殆ど現役ですし、ヨーロッパのように改修され帆船になるケースもありますし、先に紹介したシズネ・ブランコのような新造帆船もあるので、実は現役の帆船は増えているのではないかと思います。帆船が好きな僕にとっては素晴らしいことだと思います。

EUROPE 4  EUROPE 5

ヨーロッパも世界周遊航海の途上、2002年に日本にも寄港しているみたいですので、見学された方もいるかもしれません。

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スピリット・オブ・マサチューセッツとハーベイ・ガマージ(Spirit of Massachusetts 1984 & Harvey Gamage 1973)

H.Gamage and Sagres

Sprit of Masssachusetts、Harvey Gamageの両船ともメイン州Boothbay Harborを拠点とする教育機関、Ocean Classroom Foundation(Ocean Classroom Fondation)が保有する木造の2本マスト・スクーナーです。

表題の写真はSpirit of Massachusetts(後ろの帆船はサグレスⅢ)です。USSコンスティテューションが保存されているボストンCharlestown Navy Yardで1984年に建造されました。全長125ft(38.1m)、全幅24ft(7.3m)、重量90トンの2本マストのスクーナーです。竜骨(キール)はグリーンハート(南米ガイアナが有名な産地ですね、極めて耐久性に優れた木材だそうです)、フレーム、船体はホワイト・オーク、マスト、デッキは北アメリカ産の米松から造られています。

Sprit of M (3)

Spirit of Massachusettsは、今回なぜかフォア、メイン共トップマストを外していたので、帆走している姿はちょっと不恰好ですが、上の写真の通り、綺麗な2本マストのスクーナーです。この船は、1889年に進水しマサチューセッツ州グロスター(Gloucester)を拠点に活躍した快速船FREDONIAをモデルに建造されています。グロスターについては、過去の記事をご参照下さい。フライング・フィッシュについて(その4、Gloucester)

H.Gamage (3)

上の写真のHarvey Gamageは、メイン州のSouth Bristolで1973年に建造されました。こちらは、全長131ft(40m)、全幅24ft(7.3m)、重量95トンと、ほんの少しだけSprit of Massachusettsより長くスマートな船体です。Harvey Gamageのキールはホワイト・オーク、フレーム、船体はホワイト・オーク、マストは米松ですが、デッキはホワイト・パイン張りです。

Harvey Gamageもフォア・トップ・マストを外してありましたが、クリッパー形の船首が綺麗なラインを描いており、こちらの方が僕の好みです。Harvey Gamageとは、2008年の夏にBoothbay Harbor Shipyardで偶然に出会っていますので、ちょうど1年ぶりの再会です。Boothbay Harborメイン州(その2)

Harvey Gamageは、上記したようにメイン州のSouth BristolのGamage Shipyardで建造されました。Gamage Shipyardの歴史は、Albion and Menzies Gamageが1871にSouth Bristolの造船所を買収したときから始まっています(Gamage Shipyard)。下の写真は、ハリファックス港に停泊しているHarvey Gamageを船首と船尾から撮影したものです。

H.Gamage (1)

H.Gamage (Stern)

Tall Ship Nova Scotia 2009に参加したスクーナーは数多く、全てを記事にすることは止めますが、あと4隻ほど別の記事で紹介させていただきたいと思います。

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ふたたび サグレスⅢ (NRP Sagres Ⅲ, 1937)

Sagress (3) Bell

ポルトガル大使館から1983年以来、27年ぶりの日本寄港となるサグレスに関する情報をいただきましたので、2009年7月19日~20日にカナダ、ハリファックスでサグレスⅢを見学したときの写真を改めて何枚か投稿します。

在京ポルトガル大使館のサイトをご参照下さい ⇒ サグレス号 日本寄港 メインページ 

サグレスは次のスケジュールで日本に来港するそうです。各港で一般公開をされるそうです。

横浜港:2010年7月24日~29日
西之表港(種子島):2010年8月2日
長崎港:2010年8月3日~7日

NRP Sagres Stern

ハリファックスでは、サグレスとイーグルの姉妹船の両船とも船上見学が出来ましたが、船上構造物のデザインはかなり異なります。サグレスの舵輪周辺はクラシカル雰囲気でした。

NRP Sagres Wheel

日本での一般公開の際はどうなるか判りませんが、ハリファックスの一般公開の時はサグレスの後部甲板に小さな売店が出されていました。下の写真はサグレスの船上で買い求めた品々です。ポルトガルのOFICINA REAL社製のサグレスの紋章が描かれた小皿、絵葉書、サグレスのピンバッジを買い求めました。サグレスの紋章が入ったOFICINA REALの陶磁器は色々な種類がありました。絵葉書の裏には、サグレスの中部甲板に置いてあったスタンプ台でスタンプを押して見ました。好きな帆船のグッズを集めるのも楽しいですね。

NRP Sagres Plate NRP Sagres Cards

確認した訳ではありませんが、甲板材はチークでしょうか?海風に晒されながらも綺麗に磨かれた甲板も綺麗でした。

NRP Sagres Main Deck

最後にハリファックスで撮影した写真の中で、一番気に入っている場面を添付します。同じドイツの造船所で1936年に建造されたイーグルと1937年に建造されたサグレスの2隻の姉妹船が、ハリファックス湾の沖ですれ違うシーンです。世紀の遭遇といったら言い過ぎでしょうか?

Sisters Eagle and Sugres 7.20.2009 Halifax NS
 

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ベル・プールとエトワール(Belle Poule & Etoile、1932)

B.P and E (1)

ベル・プール(Belle Poule)とエトワール(Etoile)はフランス海軍に所属する姉妹船で、全く同じ設計により同じ1932年にノルマンディ地方のFécampで建造されました。19世紀末の北フランスの漁船を模して建造された木造の帆走練習船で、全長は123ft(37.5m)、全幅が24ft(7.2m)、280トンの2本マストのトップルスル・スークナーです。共に母港はブレストです。よく海洋小説に登場する地名ですね。

停泊している姿を見てお分かりの通り、セイルの畳み方も全く同じ状態にしています。なかなか粋な演出です。さて、どちらがBelle PouleでどちらがEtoileでしょうか?

B.P and E (2)

船尾に廻ると船名が確認できるのですが、前から見ると本当に双子のようです。セイルを揚げると、ようやく判別がつきます。TSF31とセイルに描いてあるのは、エトワールです。ベル・プールには後部甲板の手すりにTSF30と掲げてあります。下の写真を見比べてみて下さい。

Etoile TSF31

Belle Poule TSF30

しかし本当にそっくりな姉妹船ですね。ベル・プール、エトワールとも戦前に建造された木造帆船ですが、建造当時から今に至るまでフランス海軍の練習船として活躍しており、幸運な船歴を重ねていると思います。戦前にドイツで建造され歴史に翻弄されてきた帆船達とはちょっと違いますね。ベル・プールもエトワールも大変に良く整備されており、マホガニー製と思われるキャビンも綺麗に磨かれていました。

Belle Poule Cabin

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