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Christian Radich (クリスチャン・ラディック 1937) その3

CR from poop deck

クリスチャン・ラディックの後部甲板からの眺めです。チャート・ルーム(Chart Room)の先の船尾は立ち入り禁止でしたのでPoop Deckは見ることが出来ませんでした。但し、この帆船の通常の操舵はチャート・ルームの前のある舵輪を使用しており、船尾の舵輪は緊急操舵用らしいです。

CR Chart Room

これはChart Roomを撮影したものですが、舵輪の直ぐ後ろがミズン・マストです。写真を拡大するとファイフレール(Fife Rail)にビレイピン(Belaying Pin)を介して動索が巻かれています。ビレイピンは真鍮製と木製が混在しておりますが、しっかり整理されています。何となく帆船の船上に上がると動索と支索の状態を無意識にチェックしてしまいます。

CR Tender

次はクラシカルなダビッドに吊られたテンダーです。FRP製かもしれませんが、縁取りと舵は木製です。無論、現代の船載ボートですので動力付きです。船尾には船長専用艇(Captain’s Gig)が吊るされています。こちらはクリンカー張りのボートです。現役の大型帆船で船尾にギグ吊ってある帆船はGeorge Stageが思い浮かびますが、それ以外はあまり例がないかもしれません。

CR Tender at stern

さて、クリスチャン・ラディックのインスタグラムによると、現在オランダのHarlingen(ハルリンゲン)のドライドックで整備に入っているようです。船台に載せられた姿をみると、この帆船の特徴の一つである喫水線以下の青色の塗装がよく分かります。

CR and AH-3

クリスチャン・ラディックは、夏季はTall Ship Race、オスロをベースとしたフィヨルド・ツアーに一般からの参加者を募っていますのでタイミングが合えばこの帆船で航海することが出来ます。次のツアーは今年の12月に計画されているカナリア諸島のクルーズですので、避寒に良いのではと思います。と言っても、単なるクルーズではなくトレイニーとして乗り込む訳ですので、多少の覚悟が必要かもしれません。ハンドブックを見ると、日課と共に動索の詳細の解説迄記載されています。これを1週間のトレーニングで習得するのは難しいでしょうが、経験としては面白そうです。年齢の上限はなく、参加している人の写真を見ると結構シニアな人もいますし。

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Christian Radich (クリスチャン・ラディック 1937) その2

CR Figure head

クリスチャン・ラディックの船首像は、ノルウェー人らしい素朴な表情の女性です。船首像の由来を知りたいのですが、インターネット上では行き着きません。この帆船の船名は、1881年に設立されたオスロ帆走練習船協会(The Oslo Sail Training Ship Society)に建造費を寄付した当時のクリスチアニア(Christiania、現在のオスロ)の裕福な商人であったMr.Chiristian Radichから命名されています。船首像は誰かこのRadich氏に縁のある女性がモデルなのか、と想像しましたが、Radich氏は1881年に亡くなっており、同氏の遺志によりクリスチャン・ラディックが建造されるまでに40年近くの歳月が掛かっていますので、あまり関係はないのかもしれません。

CR Plate

船内に掲げられたFramnæs Mek. Værksted(Framnæs造船所)No.115 - 1937 Sandefijoldの銘板が歴史を語ります。クリスチャン・ラディックは、全長240ft(73m)、船体長205ft(62.5m)、全幅32ft(9.7m)、総排水量1,050tonと、Sørlandetより少し大型です。

CR Forecastle and Ventilator

やはりこの時代の船の特徴なのでしょうか?ベンチレーターが何本も立っています。フォアキャッスルには幾つか大きな木箱が置かれていますが整然としています。フォアキャッスルにボードデッキが繋がっている為に、アッパー・デッキが広く使い易そうなデッキプランです。

CR from Forecastle

この帆船の中部甲板には、日除けのキャンパスが張られていましたので写真では解りづらいですが、前方に進むと、丁度ボートデッキの真下あたりにギャレーがあります。

CR Mid deck

ギャレーは、この規模の帆船からは想像がつかないほどの広さです。磨かれたステンレスの綺麗なギャレーでは、パン生地を作っているみたいでした。大きなギャレーは司厨員の教育の場も兼ねているそうなので納得しました。

CR Galley

メインデッキには、ストック・アンカーのスペアが固定されていました。写真に写っているクラシカルなライト、ベンチレーターも雰囲気満点です。

CR Spare Ancker

ストック・アンカーの扱いは大変かもしれませんが、やはり帆船にはこの形状の錨が似合います。

CR Stock Ancker

写真が増えたので次の記事に続けます。

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Christian Radich (クリスチャン・ラディック 1937) その1(船歴について)

CR Parade

この帆船には特に思い入れがあります。35年ほど前から中村庸夫さんが撮影された写真を通して均整の取れた美しい姿に馴染んでいました。今回のスタヴァンゲルの帆船パレードでは展帆した姿ではありませんでしたが、この帆船が目の前をゆっくりと進む姿に感慨もひとしおでした。

クリスチャン・ラディックは帆走練習船として設計され、サンデフィヨルド(Sandefjord)のFramnæ造船所で1937年2月5日に進水、同年の6月17日に就役しました。1939年には大西洋を横断しニューヨーク万国博覧会に参加しています。ところが同年9月にノルウェーに帰還すると、第二次世界対戦が始まっていました。

CR Bow View 2

この帆船はノルウェーを占領したナチス・ドイツに1940年4月9日に接収されてしまいます。その後ドイツのFlenburgに移動させられ繋留されていたところ、1945年1月に連合国軍の空襲に遭い船体が損傷し湾内に沈没してしまいました。その後海中から引き揚げられた後に1945年12月に曳航されノルウェーに戻りました。スクラップ処分を含めた幾つかのオプションが検討されましたが、幸運なことに再建されることが決定、Framnæ造船所で修復作業が行われ1947年に再就役しています。

CR Stern View 1

数奇な運命を辿ってきた帆船ですが、1954年に始まったSail Training International Race Committee (STRC)が主催する帆船レースにクリスチャン・ラディックは常連として参加しています。因みに1956年のレースは、英国TorbayとポルトガルLisbon間で行われ、クリスチャン・ラディックは2位の成績でした。その後のレースでも上位入賞を続けており、21世紀に入ってから区間優勝をしたレースを並べてみましたが、殆ど毎年のように優勝しています。

2011: Waterford – Greenock: 1st place overall
2010: Antwerpen – Ålborg: 1st place overall
2009: Gdynia – St. Petersburg: 1st place overall
2008: Bergen – Den Helder: 1st place overall
2007: Stockholm – Szczecin: 1st place overall
2007: S.Århus – Szczecin: 1st place : Class A Race Series Trophy
2006: St. Malo – Lisboa: 1st place overall
2005: Waterford – Cherbourg: 1st place overall
2005: Newcastle – Fredrikstad: 1st place overall

CR Parade 3

後ろ姿も溜め息が出るほど美しいです。いつか総帆を揚げた姿を見てみたいです。

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Sørlandet 1927 (その3)

Sorlandet Boat Mette

Sørlandetに搭載されているランチは、Metteと名付けられています。これはHRH Crown Princess Mette-Marit(ノルウェーのメッテ・マリット皇太子妃)に由来しているのでしょうか。ところでメッテ・マリット皇太子妃はSørlandetのHigh Protectorに就任されているそうです。この船はノルウェー王国の由緒正しい帆船なのですね。

Solrandet Middle Deck

舷高が低いので、バースから見ると見上げる感じではなく威圧感はありません。小型の帆船ですが、フォアキャッスルと後部甲板を繋ぐ一段低い中部甲板がある構造です。20世紀前半の帆走練習船の標準的なデザインなのでしょうが、機能性を求めるのであれば往年のUSS Constellationの様なフラッシュ・デッキの方が甲板上の移動が楽なのではと思います。もっとも帆走スループ艦には甲板上のデッキハウスとかの構造物はありませんが。

Sorlandet fore Mast

Fore Mastを見上げた光景です。トップの形状は殆どの帆船と共通です。因みにこの帆船もラット・ボード (ratboards)を採用していました。Sørlandet は現役で運航されている最古のフルリグド・シップ型の帆船とのことです。最古の現役かつ洋上に浮いている帆船は、1797年に建造されたUSS Constitutionですが、運行されてはいませんし、1927年以前の現役の帆船もバーク型はありますが、確かにシップ型はないですね。

Sorlandet Rear 6

Sørlandetが帆走している姿を見たかったのですが、7月29日のパレードでは先頭船を務めていたのか、友人のボートで会場付近に到着した時には既に視界から去っていました。いつか又出会える機会があるといいですね。

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Sørlandet 1927 その2 (船上の様子)

Solrandet Poop Deck

Sørlandet の後部甲板からの光景です。右側の木製のボックスのリッドを開くとレーダー画面が見えるようになっています。磁気コンパスも、奥に見えるStack(煙突)もクラシカルな雰囲気です。

Solrandet Poop Deck 2

長い後部甲板には小さなデッキハウスがあります。シップ・ベルには、1927/1987の刻印がありますので、建造後60年の記念に据付けられたのでしょうか。

Sorlandet Ship Bell

舵輪も波風に耐えてきたような風情を醸し出していて良い感じでした。ホイールハウスのリッドを開けて見て内部構造を見てみたい衝動に駆られましたが、残念ながらいつも横の長椅子に訪問者が座っていましたので叶いませんでした。

Sorlandet Wheel

フォアキャッスルに目を移すと、こちらは少しゴチャゴチャしています。これもクラシカルな形状のベンチレーターが立っています。この形状のベンチレーターは、建造当時(1927年)の特徴でしょうか?大小多くのベンチレーターが設置されています。

Solrandet Forecastle

下の写真は後部甲板に昇る階段です。Stad Amsterdamと異なり装飾的な要素は当然ありません。よく見ると滑り止めの金具が少し捲れています。

Sorlandet Stairs

次の記事に続きます。

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