コンステレーション(USS Constellation 1854、その4 艦長居住区)

USS Constellation (3) Stern

コンステレーションのCaptain's Cabin(艦長居住区)はガン・デッキ(Gun Deck)の後方にあり、Wardroom(士官居住区)はバース・デッキ(Berth Deck)後方に位置します。冒頭の写真は、スターン・ギャラリーとクォーター・ギャラリーを撮影したものです。艦尾の4つの砲門(窓)の中がDay Cabin(艦尾の大キャビン)です。因みに士官居住区となるバース・デッキには艦舷に小さな丸窓があるだけですので、薄暗い雰囲気です(判りにくいですが、写真に喫水線の上にある2つの丸窓が写っています)。

USS Constellation (13) 艦尾サロン

上の写真はDay Cabinの内部を撮影した写真です。コンスティテューションのDay Cabinと比べると、戦時には砲門となる艦尾窓に硝子格子が入れられており、とても明るい雰囲気です。

USS Constellation (18) Stateroom

USS Constellation (16) Captains office    USS Constellation (17) Pantry

上の写真のように、大キャビンの廻りを、艦長執務室、艦長寝室、パントリー(Pnatry)とかが囲んでいます。面白いのは、クォーター・ギャラリーの内側です。下の写真の通り、なんと鉛で防水を施したお風呂が、Port(左舷)、Starboard(右舷)両側にあります。もちろん、お約束のSeat of Ease(トイレ)も併設されています。

USS Constellation (14) Port Washroom

USS Constellation (15) Starboard Seat of Ease

今回の記事は殆ど写真だけになってしまいました。次の記事は、バース・デッキのWardroom(士官居住区)で撮影した写真を紹介していきたいと思います。

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コンステレーション(USS Constellation 1854、その3 武装について)

USS Constellation (12) 64pdr Shell Gun No.4

USSコンステレーションの大きさは、全長199ft(約61m)、全幅43ft(約13m)、1,400トンで、コンスティテューションと遜色がないサイズです。スループ艦としてはとても大きな帆船であったと思います。

コンスティテューションとコンステレーションの船体上の大きな違いは、コンステレーションは、スループ艦ですので砲列が並ぶのはガン・デッキだけであること(ちゃんと全通甲板のスパー・デッキもありますが)、そして船尾構造が曲面となっていることでしょうか。

無論、尤も大きな相違は、建造された時代を反映して武装が全く異なることです。

USS Constellation (4) Gun Deck

1855年の就役時のコンステレーションの武装の中心は、上記写真の8インチ炸裂砲(Chambered shell gun) x 16門、32ポンド砲 x 4門、それにスパーデッキに10インチ炸裂砲 x 2門が搭載されていました。22門艦です。

22門艦とはいっても、ガンデッキに並んでいる64ポンドの炸裂弾が発射できる8インチ砲16門は、USSコンスティテューションが搭載している24ポンド長砲、或いは36ポンド長砲を搭載した戦列艦との比較しても破壊力で上回っているのではないでしょうか。

USS Constellation (12) 64pdr Shell Gun No.3

上の写真の通り、砲口が大きく迫力があります。しかしこの8インチ炸裂砲は、レプリカで実射はできないと思います。因みに各砲に寄付をした人、家族の名前のプレートが刻まれています。大砲に限らず、再現されたキャビンとかも、企業名とか個人名のプレートがあり、有志の寄付もあり修復されたことが判ります。

USS Constellation (12) 64pdr Shell Gun  USS Constellation (12) 64pdr Shell Gun No.2

コンステレーションの武装も時代と共に移り変わっており、南北戦争当時は、スパーデッキの旋回架台(Pivot Mount)に乗せられた10インチ炸裂砲に代え、船首部分に30ポンドのParrot Rifle砲、船尾に20ポンドParrot Rifle(パロット砲)を搭載しました。パロット砲は、南北戦争の主要兵器で、前装式のライフル砲で有効射程が従来のキャノン砲の2~3倍以上もあったそうです。下の写真はコンステレーションのスパーデッキで展示されている、20ポンドParrot Rifleです。復元されたものだそうですが、実演に使用されており空砲は発射できます。テークル(Tackle, 滑車装置)は一応装着されていますが、この程度では、実弾を限度一杯の火薬を使って発射することは出来ないと思いますが。

USS Constellation (11) Parrot Rifle

次の記事は再現されたコンステレーションの士官室を中心に書いてみようと思います。

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コンステレーション(USS Constellation 1854、その2)

USS Constellation (2)

USSコンステレーション(USS Constellation)は、修復期間を除いて、1955年から常にボルチモアのインナーハーバーのPier 1に係留されています。

このスループ艦(Sloop-of-War)は、1854年に建造されましたので、アメリカで海に浮かんでいる船としては、1797年に建造され今でもアメリカ海軍の現役艦であるUSSコンスティテューション、Mystic Seaportで保存されている1841年に建造された帆走捕鯨船チャールズ.W.モーガンに次いで3番目に古い船だそうです。

USS Constellation (6)

ところが実物に対面すると、外板も塗装も綺麗すぎて歴史を経てきた風格を感じません。コンステレーションは、1996年から1999年に掛けて行われた大規模な修復工事で、かなりの部分のフレーム、更に外板を70%ほどを新しく張り替えたそうです。公式WEBのレストアの歴史に詳しく記載がありますが、フレームどころかキール(竜骨)も曲がってしまっており、1994年に一般公開を中止していたのでした。

ちなみにフレームはLaminated White Oak(ホワイト・オークの積層材)、外板はLaminated Douglass Fir(米松の積層材)で修復したそうです。積層材というとなんか人工的な響きがしますが、実は無垢材より強度があるそうです。

コンステレーションの艦内に入ると、オーロップ(Orlop、最下甲板)だけではなく、ホールド(船倉)を見ることも出来ます。下の写真はこの船の建造当時の部材が多く残っているところだそうです。船倉には渡り廊下が設置されて見学が出来るようになっていました。バラストが殆ど撤去されているのも、やけに喫水が高い要因でしょうか。

USS Constellation (7) Hold USS Constellation (8) Orlop

この船は殆ど立ち入り禁止の場所がなく、どこでも自由に見れるし撮影できるので、時間に余裕があれば、いつまでも見学していたい気分になります。下の写真はガンデッキの先端部分で、バウスプリットの固定方法、アンカー・ケーブルが船体に格納される方法が良く判ります。

USS Constellation (9) Gun Deck Front

下の写真はガンデッキからグレーティング(格子)を見上げたところです。グレーティングは、模型のキットだと同じ形状の横板と縦板の組み合わせですが、本物の組み合わせは異なることが判ります。

USS Constellation (10) グレーティング

USSコンステレーションの記事は、何回かに分けて書いてみます。帆船模型製作を意識した写真が多いので、意味不明のスナップもあると思いますが、18~19世紀のフリゲート艦或いはスループ艦を模型を製作する為の備忘録として、更に帆船模型を制作されている方(誰もこのブロクを見ていないと思いますが。。)の参照にして頂きたいと思います。

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コンステレーション(USS Constellation 1854、その1)

USS Constellation (1)

以前の記事で紹介した中村庸夫著、保育社の「帆船 (1981年)」の有名保存帆船の項目の中に、「コンステレーション(アメリカ)、1794年、1960D/T、バルチモア(原文通り)」との記載があります。1794年は、Naval Act(海軍条例)が制定された年ですので誤植でしょうが、この本に掲載されている白黒の写真は、たしかに1797年にボルチモアで進水した38門搭載のフリゲート艦を彷彿される姿です。

実は、現存するUSSコンステレーションは、「1797年に建造されたフリゲート艦を1854年に改修してスループ艦としたのか」、或いは、「そもそも1854年にスループ艦として新規に建造されたのか」との長い論争があったそうです。最終的に、FBI(連邦捜査局!)の協力も得て、ボルチモアに係留されているこの船は、1854年に全く新しく建造されたスループ艦であるとの調査報告書が1991年に作成され、更に1996年~1999年の改修工事でこの事実が再確認されたそうです。

USS Constellation at Baltimore with Frigate Configration

上の写真は、改修前にボルチモアに係留されている姿(絵葉書)です。たしかに、この姿は、1797年建造のフリゲート艦の姿です。冒頭の写真と下の写真は、僕が絵葉書と同じ場所から2010年夏に撮影したスループ艦です。

USS Constellation (5)

何故、上記のような誤解が生じたかとの疑問に対し、次の理由が上げられています。

(1)1797年建造の初代は、1853年にバージニア州ノーフォークのゴスポート海軍工廠(Gosport Navy Yard)で解体された。同じ時期に2代目の建造が同じゴスポート海軍工廠で1853年6月25日に建造が開始された(進水は1854年8月26日)。従い、初代が大幅な改造を受けて2代目となったと考えるのは別に不自然ではない。

(2)アメリカ海軍艦船登録(Naval Vessel Register、NVR) に、USS Constitutionは、初代目の登録抹消、解体の記録は残っておらず、何故か同艦の登記も1797年の建造時から1955年の退役まで連続した内容となっていた。

USSコンステレーションは1855年の就役から100年間も現役艦として活動をした後、1955年に(初代のフリゲート艦が建造された)メリーランド州のボルチモアで保存されることになりました。更には、1963年には、「1797年に建造されたフリゲート艦」として、National Historic Landmark (通称NHL)に登録されたそうです。

更に、この船は1960年代にボルチモアで1797年の姿に改修され、1996年まで「38門搭載のフリゲート艦」の姿で展示されていたそうなので、中村庸夫さんが撮影した時は、無論18世紀末のフリゲート艦の姿であった筈です。

時間があるときに、調査報告書を読んでみたいと思いますが、帆船好き(?)だったルーズベルト大統領(Franklin D.Roosevelt)は、海軍次官(Assistant Secretary of the Navy)時代(1913~1920年)に、(実際は1854年に建造された)USSコンステレーションを1814年当時の姿に戻すように命令したり、大統領に就任してからは、1933年に一旦現役を退いていた同艦を1940年に再就役されるされるように命令したり(USSコンステレーションは、なんと1941年5月21日にはアメリカ大西洋艦隊の旗艦となっている)、とかなり深くこの艦に関与しているような印象を受けます。

前置きが長くなってしまいましたが、次の記事からは、今回の訪問時に大量に撮影したUSSコンステレーションの写真を中心に紹介していこうと思います。

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