インディペンデンス・シーポート博物館(Independence Seaport Museum、フィラデルフィア、その1)

インディペンデンス・シーポート・ミュージアムは、フィラディルフィアのPenn's Landingにあります。大きな2階建ての建物で小さなボート・ショップも併設されており、とても立派な博物館です。
加えて、この博物館は、1892年に建造された防護巡洋艦(Protected Cruiser)USS Olympiaと1944年に建造された潜水艦Becuna (SS-319)も維持・管理しています。USS Olympiaは洋上に浮かんでいる最古の防護巡洋艦だそうです。USS Olympiaについて、帆船ではありませんがとても興味深い船ですので別に記事にしてみたいと思います。

博物館の展示は、「USS Olympia」、「Home Port Philadelphia」、「Philadelphia and the China Trade」、「Divers of the Deep」とかテーマ別に分けた常設展示がされています。スペースも広く展示物も豊富でじっくり見学するためにはかなり時間が必要です。それ以外にも「Small Craft of the Delaware River Valley」ではデラウェア川で使われた実物のボート、ヨットの実物の展示、「What Floats Your Boat?」では、子供向けに船の構造、帆走等について、動く模型等で知識を深める工夫がされており楽しい展示です。
お目当ての帆船模型は、大型の模型を含めかなりの数があります。19世紀の造船所のジオラマの模型(帆船の構造模型)を含め、とても見応えがありました。他にも、1877年に建造されたバーク型帆船James A Wrightが満帆で疾走する姿の模型とか、帆船を題材にした絵画とか、帆船に関係した展示だけでも何時間も過ごせる程です。残念乍ら博物館の中の館内は撮影禁止でしたので、写真では紹介できませんが、訪れる価値のある海洋博物館だと思います。

博物館の写真がないと実感が沸かないと思いますので、潜水艦Becuna (SS-319)の写真を添付してみます。潜水艦の艦内は、なんといっても幅が狭いので、ちょと中に入っただけで閉所恐怖症になりそうです。

フィラデルフィアは19世紀から20世紀に掛けて、米国の中でもっとも造船業が盛んな街だったそうです。博物館の展示物にフィラデルフィア、更にアメリカの造船業の盛衰についてのの10分程の映像フィルムがありました(ボタンを押すと自動再生する仕組み)。フィラデルフィア海軍工廠(Philadelphia Navy Shipyard)が1871年にリーグ島(League Island)に移転されたからの歴史、戦時需要に翻弄される姿、最後に冷戦後衰退する姿を映像で紹介する内容で、最後に物悲しい印象が残ります。因みにフィラデルフィア海軍工廠は1995年に廃止されておりますが、この跡地は現在ノルウェー資本が入った民間のAker Philadelphia Shipyardに引き継がれているそうです。

博物館を出るとデラウェア川対岸のカムデン(Camden)で博物館として公開されている、1942年に進水、1943年に就役したUSS New Jerseyが視界に入りました。この戦艦も上記したフィラデフフィア海軍工廠で建造されています。
USS New Jerseyは、1991年に完全に退役するまで、予備役、再就役を繰り返し、第二次世界大戦に始まり、朝鮮戦争、ベトナム戦争、最後にはレバノン内戦にも参戦しています。1984年のベッカー高原のシリア軍に対して行った、16インチ砲(40.6cm砲)による激しい艦砲射撃の映像を皆さんも覚えているのではないでしょうか。正直、第二次大戦以降の灰色に塗られた戦艦にはさほど興味を持っていないので、見学はしませんでしたが、USS New Jerseyは全長887.7ft(270.54m)、重量45,000トンと、このブログの中心となっている帆船達に比べると途轍もなく巨大な艦船ですね。
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