ウェーバーツリー(Wavertree 1885、NYC South Street Seaport、その3)

Wavertree 2

Wavertreeは1885年に英国サザンプトン(Southampton)のOswald, Mordaunt & Co造船所で建造されました。発注者はR.W Leyland社でしたが、引渡し先はリバプールのChadwick & Pitchard社だったそうです。建造時の名前は、Southgateでした。その後、R.W Leyland社が1888年にSouthgateを買取り、Wavertreeと改名しました。

Wavertreeは、現存する鍛鉄(Wrought Iron)製の船体としては世界最大だそうです。この帆船は、東インド(現在のバングラデッシュ)からスコットランドに、ロープの原料となる黄麻(ジュート、Jute)を輸送していました。

Wavertree 1

残念ながら僕が訪れた2010年7月時点では、Wavertreeは改修中で船上見学は出来ませんでした。冒頭の写真はPier 17から出航したフェリーの船上からのスナップです。トップマストが外されているので、ちょっとバランスが悪い姿ですが、昔の写真を見ると見事なフルリグド・シップ型の帆船であることが判ります。

Wavertreeのサイズは、全長268.6ft(81.84m)、全幅40.2ft(12.7m)、2,170トンです。個人的には、このような3本マストのシップ型の船体が尤もバランスが取れ美しいと思います。しっかりとしたレストアが必要でしょうが、後ろから見てもなかなか綺麗なラインです。

Wavertree 3

ちなみにWavertreeは、South Street Seaport Museumが開館した翌年の1968年に、博物館のFlagshipとして購入されています。Wavertreeは、1885年の建造後、1910年頃まで現役の帆走貨物船として活躍していましたが、その後、フォークランド諸島でマストを取り外され、洋上倉庫(floating warehouse)としてチリのPunta Arenasに移され1947年まで使用されたそうです。その後、Wavertreeは『鉄屑』として売却されましたが、なぜか解体されずに、今度はチリのブレノスアイレスに移され、Don Ariano Nと改名され砂運搬用のバージとしてこの博物館に購入されるまで使われていました。Wavertreeも大変な運命を辿っています。

Wavertree.jpg

South Street Seaport Museumも、ご多分に漏れず財務状況に苦しんでおり、2008年頃にPekingをドイツ・ハンブルクに売却する計画があるとの記事が出ておりました。今はどうなっているか判りませんが、Wavertreeは米国のNational Register of Historic Places(米国文化遺産)としても登録されていますし、もしかしたらPekingを本来の母港であるハンブルクに売却し、WavertreeをSouth Street Seaport MuseumのFlagshipとして保存をしていくのかもしれません。

PekingもWavertreeも、是非、整備・修復して完全な姿で後世に継承して欲しいと思います。South Street Seaport Museumの運営には多くのボランティアが関わっているそうですが、このような大型帆船を維持するには莫大な金額が必要なのでしょう。ニューヨーク現地の記事によると、Pekingの修復には30~40億円を要するとの数字が記載されていました。世界中の富が集まるWall Streetから程近い場所で、このような貴重な帆船達が予算不足により朽ちつつあるのはなんとも皮肉な話だと思います。

テーマ : 帆船紀行 - ジャンル : 旅行

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