ローズウェイとヴァージニア(Roseway 1925 & Virginia 2005)

ローズウェイは1925年11月24日にマサチューセッツ州エセックスのJohn F. James & Son造船所で進水した正統なるニューイングランドの木造2本マスト・スク-ナーです。全長137ft(41.8m)、全幅25ft(7.6m)、250トンとスクーナーとしては大きめのサイズだと思います。名前の通り、特徴のあるローズ色のセイルです。

ローズウェイは、1920年代にカナダのノバスコシアとニューイングランド間で活発に行われていた帆走漁船レースに参戦することも目的に建設されました。別の記事で紹介する予定ですが、1921年に建造され連戦連勝を続けていたノバスコシアのブルーノーズを打ち破ることがローズウェイに与えられた使命でした。残念ながらInternational Fisherman's Trophyは1924年から1930年に掛けて中断してしまったので、ローズウェイがこのレースで活躍することはありませんでしたが、レースを目的に建造された帆走漁船の中で唯一現存している船です。

上の写真はローズウェイの船側の拡大写真ですが、木造スクーナーの特徴である排水溝の形状、それにシュラウドの末端の船側の処理方法がよく判ります。帆船模型でも正確に再現したいところです。因み排水溝は内側が伝統的な赤色に塗られていました。1857年にEssexで建造されたフライング・フィッシュ(模型製作を計画中です)もほぼ同じ形状ですね。

さて、バージニアは、ローズウェイが建造された時から80年後の2005年に進水した最新の木造2本マスト・ノックアバウトスクーナー(Knockabout Schooner、バウスプリットが無い船体)です。全長122 feet(37 m)、全幅23.8 feet (7.3 m)、160トンの大きさで、1916年~1939年にバージニア水先案内人協会(Virginia Pilots Association)が保有していたスクーナーVirginiaの復元船です。Tri Costal造船所で建造されました。高く聳える、フォア及びメインのトップマストが印象的で美しい姿です。

バージニアは2007年に開催されたThe Great Chesapeake Bay Schooner Raceで、快速船のPride of Baltimoreを抑えて優勝するなど大いに活躍しておりましたが、財政難により最近、船長、乗組員を解雇して、母港であるバージニアのノーフォークからNauticusに移送され保管されているそうです。この船の公式WEB(Schooner Virginia)には『寄付のお願い』が大きく出されています。

バージニアは昨年7月のハリファックスの帆船パレードでも輝いていた船なのですが、昨今の米国の経済低迷がこのようなところまで影響を及ぼしているのはとても残念なことだと思います。早く海に戻れるといいですね。
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