ジョリー・ブライズ(Jolie Brise 、1913)

Jolie Briseは1913年にフランスのパイロット(水先案内)船として、La HavreのAlbert Paumelle造船所で建造された木造のガフ・カッターです。パイロット船として数年使用された後、漁船に転用されましたが、この小型帆船が真価を発揮したのは、1925年に開催された第一回Fastnet Raceで優勝してからです。Jolie Briseは、1929年、30年のレースでも連続優勝を飾っています。因みにFastnet RaceはがRoyal Ocean Racing Clubが主催し現在も2年に一度開催されています。

長さが56ft(17m)、幅が15.9ft(4.8m)、44トンのとても小さな帆船です。ハリファックス港ではブルーノーズの横に停泊していましたが、埠頭から見下ろすような感じで、本当にこのような小さな船が大西洋を横断してきたのかと驚くほどです。上の写真はブルーノーズとの比較です。大きさの違いが歴然としています。

Jolie Briseは、英国のロンドンの西100マイルほどのところにある、1542年に設立された中高一貫教育の私立学校、Dauntsey's SchoolのSailing Clubが1977年から保有しています(Jolie Brise)。
海洋小説では頻繁にカッターが登場しますが、こんな感じだったのでしょうか。大砲を置くスペースも無いほど狭い甲板です。当然、舵輪ではなく舵柄です。操舵室もない剥き出しの中で大西洋の荒波に揉まれることを想像してしまいます。
ところでバウスプリットは船体の中心ではなく、下の写真の通り、前から見て左側にオフセットされ設置されています。これは帆船模型でもよくあるデザインですが、実物を見るのは初めてでしたので興味深かったです。

Jolie Brineの帆船模型キットは、スペインのメーカーARTESANIA LATINA社から販売されていますが(Jolie Brise Kit)、キットを見るとモッタリしたした感じでかなりデフォルメされていると思います。実物はとてもシャープな感じの快速艇です。ハリファックスの帆船パレードの際は、黒色に塗られた小さい船体と、マルーン色のセイルがとても綺麗でした。セイルに風をはらみ船体を傾けつつ目の前を通過する姿は、船体の長さが5倍以上もある3本マストの帆船たちと比較しても十分な存在感を漂わせていました。

英国の私立中高校が(特に船員教育を志向しているのではない普通の共学の伝統校が)このような歴史的な帆船を保有して維持・管理するだけでなく、大西洋横断レースに参加してしまうとは凄いですね。
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