バウンティ(HMS Bountyのレプリカ船、1961)

Bounty 3

MGM映画『バウンティ号の反乱』の為に製作された、云わずと知れたHMAV(Armed Vessel)Bountyのレプリカ船です。この帆船は、ノバスコシア州のルーネンバーグ(Lunenberg)のSmith & Rhuland造船所で建造され、1961年8月28日に進水しました。全長180ft、デッキ長120ft、412トンの大きさで、1784年に建造されたオリジナル船(デッキ長が約90ft、約215トン)と比較するとかなり大型です。

レプリカ船とは云え木造で18世紀後半の帆走輸送船の姿を良く再現してあります。スターン・ギャラリーの造作等は帆船模型作りに参考になります。唯一残念なのは、錨が取ってつけたようなストックレス・アンカーであり、折角の木造帆船の美しさをスポイルさせてしまっています。勿論、オリジナルのHMAV Bountyには、ロイヤルスル(Royal Sail)は通常は装着されていなかったと思いますし、何故かハリファックスでは、ミズン・トップゲルン・マスト(Mizzen Topgallant Mast)が外してあったのでちょっと不自然ではありましたが、今回の帆船パレードで唯一の18世紀の帆船の姿をしたレプリカであり、なかなかの雰囲気を醸し出していました。

Bounty 1

オリジナルのHMAV Bountyは、もともと石炭運搬船として1784年に英国のハルの近くのBlaydes造船所で建造されました。最初の名前はBethiaでしたが、1787年に英国海軍に買い取られBountyと改名。その際に小さな4ポンド砲4門と、旋回砲10門が搭載されました。軍艦とは云え、このような小さい輸送船でしたので、タヒチへの航海の乗組員は合計で46名。士官は、(反乱当時33歳であった)ウィリアム・ブライ海尉艦長(William Bligh)だけでした。海兵隊も乗艦していなかったことが反乱発生の要因でもあったと伝えられています。

HMAV Bountyは、1787年12月23日に英国ポーツマスを出港、翌年の10月26日にタヒチ島に到着しています。ブライ艦長は、クック艦長のレゾリューション号の航海長を務めた経歴があり、タヒチ付近の海域を熟知していたと云われています。HMAV Bountryは1789年4月までの半年弱をパンノキ(Breadfruit)等を積み込むためにタヒチ島に停泊し、後の反乱の首謀者となるクリスチャン他は地上の楽園の生活を謳歌しましたので、厳しい英国海軍の環境に戻るのが難しくなったのかもしれません。

ブライ海尉艦長は、漸く1789年4月4日になってタヒチ島を出航しましたが、4月28日にフレンドリー諸島近くで反乱が発生しました。首謀者はクリスチャンで反乱に加わったのは合計で12人でした。ブライ艦長に忠誠を誓った乗組員の内、13名はBountryに残され、ブライ艦長を含め19人が23 foot (7 m) のランチ(launch)で追放されました。この後、ブライ艦長はなんと47日を掛けて3,600海里(約6,700km)をランチで航海し、途中で原住民に殺された1人以外は死者もなくチムール島にたどり着き、ブライ艦長は英国に戻りました。

Bounty 4

ブライ艦長に関する後世の評価は分かれていますが、反乱事件の後に1797年にHMS Director(64門艦)の艦長としてキャンパーダウン(Camperdown) の海戦で活躍、更に1801年にはHMS Glatton(56門艦)の艦長として、コペンハーゲン沖の海戦でパーカー提督の戦闘停止信号をわざと無視してネルソン提督を勝利に導くなど、なかなか非凡な指揮官であったと思います。その後、ブライ艦長は1806年にニューサウスウェールズの総督となるもの、ここでも反乱に遭遇していますので、南太平洋ではツイていないみたいですが、最終的には1814年にVice Admiral(海軍中将)に昇格しています。 ところでブライ艦長はHMAV Bountryで挫折したパンノキをカリブ海に移植するミッションを1793年に完了しています。これも余談ですが、ブライ艦長は王立協会(Royal Society)の会員でもありました。

Bounty 6

バウンティは2006~2007年に掛けて、以前の記事(Boothbay Harborメイン州(その2)で紹介したメイン州のBoothbay Harbor Shipyardで大規模な修理がされています(http://www.boothbayharborshipyard.com/projects.html)。Boothbay Harbor Shipyardの公式ホームページに詳しい記事があり興味深いです。

ところでHMAV Bountryの帆船模型のキットは様々なメーカーから販売されております。元石炭運搬船の武骨な船体に僕としてはあまり食指が動きませんが。

テーマ : 帆船紀行 - ジャンル : 旅行

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する