USS Constitution 1797(その3、スターン・ギャラリーとクォーター・ギャラリーの考察)

USS Constitution Stern

現在のコンスティテューションの艦尾(Stern Gallery)は上の写真の通りのデザインですが、これは1870年頃からの姿だと云われています。1797年の建造当時、更に1812年の第2次英米戦争時は、5~6枚の硝子窓が並ぶオーソドックスなデザインだったそうです。

下の絵(抜粋)は、左が1812年8月19日のHMSゲリエール(Guerriere)との遭遇戦、右が1812年12月29日のHMSジャバ(Java)との遭遇戦(この時はオーブリー艦長がHMSジャバの艦上にいましたね)の場面ですが、これを見ると、ゲリエールとの戦闘の絵は5つ窓の艦尾、ジャバとの戦闘の絵は7つ窓の艦尾となっています。

Guerriereとの戦闘の油絵は、イタリア系アメリカ人画家Michele Felice Corne (1752~1845)、Javaとの戦闘の水彩画はフランス人の画家Montardier(1812~1848)が後日描いたものです。そもそも、当時は実船をしっかり観察してデッサンすることは(特に常に外洋にいる軍艦では)難しく、従軍画家でも無い限りはかなり想像により描いていたのでしょう。ただし、Michele Felice Corneは、マルタ島出身(エルベ島生まれとの説もある)のイタリア人で1800年頃にセーラム(Salem)に移住し海洋、風景画家として活動していたみたいですし、下に引用したコンスティテューションとゲリエールとの遭遇戦の絵画は、1810年6月~1812年9月までコンスティテューションの艦長であったIssac Hullが発注したものですので、艦尾を含めた詳細、戦闘時の様子も(Issac Hull艦長がチェックしつつ)正確に再現しているのではと思います。絵画から見た海洋史も面白そうな研究課題ですね。

USS_Constitution_vs_Guerriere Starn View USS Constitution vs HMS Java 1812 Watercolor Starn View

現在のクォーター・ギャラリー(Quarter Gallery)もやはり1870年頃の姿らしいです。1797年の建造当時は、もっと窓の傾斜が強く、装飾性が高く彫刻で飾られていたそうです。ギャラリーの内側はこんな感じです。昔は艦長用のSeat of Ease(トイレ)が置かれていたらしいですが、こんな雰囲気であれば、航海中ここに座って海を眺めながら本を読むのもいいかな、と有り得ない想像をしてしまいました。

USS Constitution Gallery USS Constitution Inside Galley

ところが、艦長室は下の通りの状態で全く駄目ですね。良く海洋小説で「船体の幅を一杯につかった明るい艦長室」との表現がされておりますが、コンスティチューションの艦長執務室は、両端の隔壁により、窓3つ分の幅しかなく、その窓も、鎧戸に開けられた小さな丸い明り取りから光が入るだけで薄暗く(鎧戸は砲門と同じように上下に開くみたいですが)、快適とは云えない部屋でした。執務室とギャラリーの間の両端2箇所にベットスペースがあります。結構しっかりと睡眠が取れそうな雰囲気ですが、フリゲート艦の寝室、とのイメージとはちょっと違いました。因みにベットスペースの後部に換気口(?)がありますが、これは冒頭の艦尾の写真で、両端に小さい丸い穴が開いているところです。

USS Constitution Inside Stern USS Constitution Inside Stern Bed

ところで、色々な模型メーカーがコンスティテューションの木製帆船模型キットを販売しておりますが、この艦尾構造がモデルにより異なり面白いので列記してみます(キットは順次改良されているので変更されている可能性もありますが)。現在の形に忠実なのはModel Shipway社のキット(http://www.modelexpo-online.com/product.asp?ITEMNO=MS2040)。Mamoli社のキットも現在の艦尾に似た形状です。

1)Model Shipways :1927年のアメリカ海軍の図面を参照。現在と同じ形の艦尾。
2)Blue Jacket   :1812年当時の艦尾を参照としていると思われる構造(6つ窓)
3)マモリ(Mamoli) :現在と同じ形の艦尾。2000-2001年版のカタログの写真を参照。
4)マンチュア   :クラシカルな6つ窓の艦尾

実物が残っていると模型作りも神経を遣いますね。イタリアにキットには特にかなりのデフォルメがあるような感じがしてしまいます。それから考えると、(白いバスウッドを中心とした)素材はともかく、Model Shipways社のキットは自らの宣伝で「Most Accurate USS Constitution Kit Ever Produced」(史上もっとも正確なConstitutionのキット)と謳っているだけあります。今まで知っていたイタリアのキットと比較にならない程のレベルの内容です。ただ、ガン・デッキの24ポンド砲がダミー構造(つまり砲身を船体構造に差し込むタイプ)なのは全く頂けないので大掛かりな修正(ガン・デッキの追加作成)が必要です。完成時の全長が48インチ(1,220cm)と比較的大きい模型ですが、それでも縮尺は1/76.8なので決して製作は容易ではないと思います。

話しが前後しますが、以前の記事(http://corniche.blog65.fc2.com/blog-entry-9.html)で書いた通り、コンスティテューションを訪れた数日後、Piel Craftsmen(http://www.pielcraftsmen.com/)でこのModel Shipwaysのキットをじっくり検分させて貰い、魅せられてついつい買ってしまいました。

テーマ : 帆船模型 - ジャンル : 趣味・実用

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