Christian Radich 1937 (クリスチャン・ラディック 1937) その1(船歴について)

この帆船には特に思い入れがあります。35年ほど前から中村庸夫さんが撮影された写真を通して均整の取れた美しい姿に馴染んでいました。今回のスタヴァンゲルの帆船パレードでは展帆した姿ではありませんでしたが、この帆船が目の前をゆっくりと進む姿に感慨もひとしおでした。
クリスチャン・ラディックは帆走練習船として設計され、サンデフィヨルド(Sandefjord)のFramnæ造船所で1937年2月5日に進水、同年の6月17日に就役しました。1939年には大西洋を横断しニューヨーク万国博覧会に参加しています。ところが同年9月にノルウェーに帰還すると、第二次世界対戦が始まっていました。

この帆船はノルウェーを占領したナチス・ドイツに1940年4月9日に接収されてしまいます。その後ドイツのFlenburgに移動させられ繋留されていたところ、1945年1月に連合国軍の空襲に遭い船体が損傷し湾内に沈没してしまいました。その後海中から引き揚げられた後に1945年12月に曳航されノルウェーに戻りました。スクラップ処分を含めた幾つかのオプションが検討されましたが、幸運なことに再建されることが決定、Framnæ造船所で修復作業が行われ1947年に再就役しています。

数奇な運命を辿ってきた帆船ですが、1954年に始まったSail Training International Race Committee (STRC)が主催する帆船レースにクリスチャン・ラディックは常連として参加しています。因みに1956年のレースは、英国TorbayとポルトガルLisbon間で行われ、クリスチャン・ラディックは2位の成績でした。その後のレースでも上位入賞を続けており、21世紀に入ってから区間優勝をしたレースを並べてみましたが、殆ど毎年のように優勝しています。
2011: Waterford – Greenock: 1st place overall
2010: Antwerpen – Ålborg: 1st place overall
2009: Gdynia – St. Petersburg: 1st place overall
2008: Bergen – Den Helder: 1st place overall
2007: Stockholm – Szczecin: 1st place overall
2007: S.Århus – Szczecin: 1st place : Class A Race Series Trophy
2006: St. Malo – Lisboa: 1st place overall
2005: Waterford – Cherbourg: 1st place overall
2005: Newcastle – Fredrikstad: 1st place overall

後ろ姿も溜め息が出るほど美しいです。いつか総帆を揚げた姿を見てみたいです。
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