Mystic Seaport(その4、Henry B. duPont Preservation Shipyard)

Mystic Seaport Shipyard

Mystic Seaport博物館で、先に紹介した保存船4隻と同等以上に興味深いのが、表記の造船所Henry B. duPont Preservation Shipyardです。この造船所は、Mystic Seaportが保存する帆船、他の船舶の修理を行なうだけではなく、現役の造船所としても稼動しています。コネチカット州の旗艦(Flagship)と同時に同州の親善帆船(Tall Ship Ambassador)であるAmistadは、この造船所で建造され2000年3月25日に進水しています。2本マストの快速船でとても綺麗な木造トップスル・スクーナーです。Amistadについては、別の記事を書こうと思います。

上記の写真は雨が降り出す寸前の空で暗い雰囲気ですが、近寄ると、木を削る音、ドリルの音等々、まさに現役の造船所です。今まさにここでCharles W. Morganが船台に乗せられ大規模な補修を受けています。造船所内の展示スペースには、木造帆船の外板に使われる木材のサンプル(アメリカの木造帆船に使われたライブ・オークとかホワイト・オークとかイエロー・パインとかを手に取って比較出来る)が置いてあります。特に興味深かったのは、船底の銅板張り(Copper Sheltering)と外板張り(Planking)のサンプルでした。

Mystic Seaport Shipyard 銅板張り見本 Mystic Seaport Shipyard プランキング見本

よく帆船模型で、この銅板張りを再現していますが、初めて本物の構造を観察することが出来ました。船底の銅板張りは、英国ポーツマスに保存されているH.M.S Victory, ボストンのUSS Constitutionとかでも物理的に見ることは出来ますが、実物に手を触れつつ観察できる場所は限られていると思います。印象は、思ったより銅板が薄いこと。見て触れたところ約1mm程度でしょうか。これを模型で忠実に再現するのは可也縮尺が大きくないとオーバー・スケールになりそうですね。

因みにCharles W. Morgan が5年間の修理に入るために船台に上げられた姿が下の写真(Mystic Seaportの公式ホームページから借用)ですが、何故か銅板張りは喫水線近くだけです。良くホームページの説明を読むと、「(定期的な補修を念頭に)木材の状況を把握し易くする為、銅板張りは喫水線付近だけとしている」とのこと。

まあ、帆走する訳ではないし、海に浮かんでいると見えないし、現実的な施策とは思いますが、このような写真を見るとちょっと騙された気分になってしまいますね。とは云いながら、1841年に建造された木造帆船をちゃんと海に浮かべて展示しているだけでも凄いことかもしれません。ロンドン郊外のGreenwichに保存されているCutty Sark(残念乍ら2007年に火災にあい、更に大掛かりな補修工事中ですが)は、1869年に建造されていますが、1954年の最後の航海(といってもテムズ河を曳航されただけ)の後、ドライドックに収まっています。やはり船は海に浮いている姿が一番です。

ところで、銅板は見事に緑青がわいて緑色に変色しています。帆船模型で黒染液で黒く処理してあるケ-スがありますが、どちらがいいのでしょうか。自然に経年変化させるのが正解だと思いますが、今後の模型造りで良く検証する必要があると思いました。

morganOutFront.jpg

余談ですが、Charles W. Morganの今回の大規模補修では、可能な限りオリジナルに近い木材を使用することを考慮しており、バージニア州のリッチモンド及びジョージア州トマルビル等から大量にライブ・オーク及びイエロー・パインがMystic Seaportの造船所に納入されているとのことです。又、今回の修理ではバウスプリットも造り直す予定とされています。2013年の修理完工が楽しみですね。

テーマ : 帆船模型 - ジャンル : 趣味・実用

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