HMSサプライズ(HMS Surprise,ex-HMS Rose) 1970 その2

Surprise Bow (1)

HMSサプライズの艦首部分です。これは復元帆船ですが、マスター・アンド・コマンダーの映画のため可能な限り忠実に作製(改造)されたものと思います。

史実に基づくと、オリジナルのHMSサプライズは、フランスのコルベット艦Unitéとして、Pierre-Alexandre Forfaitの設計により、1794年にLe Havreで建造されました。そして、1796年に英国海軍の36門フリゲート艦HMS Inconstantにアルジェリア沖で拿捕されてしまいます。この場面は、ジェフ・ハントが描いており、僕も2008年7月にMYSTIC SEAPORTを訪れた時に、複製画を買って、長らく休業中の帆船模型工房(?)に飾ってあります。

HMS Surprise Captured French Ship

ユニテ(Unité)の建造当時のスペックは、デッキ長が129ft(約39m)、全幅が31.8ft(約9.7m)、重量が578トンのコルベット艦でした。因みに、ユニテとしての武装は、8ポンド砲 x 24門、4ポンド砲 x 8門の合計32門を搭載していました。その後、英国海軍に編入され、HMS Surpriseとして1798年に再艤装された際は、(英国海軍の基準に従い)9ポンド砲 x 24門、後部甲板に12ポンド・カロネード砲 x 4門、4ポンド砲 x 8門、そして前部甲板に12ポンド・カロネード砲 x 2門、4ポンド砲 x 2門の合計40門を搭載し、5等級の34門フリゲート艦として登録されております。その後、史実では、ガンデッキの9ポンド長砲を全て、32ポンドのカロネード砲に置き換え、同じく、上部甲板の16門も全て18ポンド・カロネード砲に変更されています。

因みに、オーブリー・シリーズのフィクションでは(映画でも)、HMSサプライズは、下の復元船の写真の通り、9ポンド長砲の武装のままです。

HMS Surprise Gun Deck

小説の中で、HMSサプライズは、高いメインマストが特徴として描かれておりますが、これも史実とは違うフィクションです。パトリック・オブリアンは、(フィクション上)28門搭載の6等級のフリゲート艦であるHMSサプライズに、36門フリゲート艦のメインマストを装着させて、この帆船の特徴としています。前の記事の通り、復元帆船でも一際高いメインマストが見事に再現されています。


The Frigate Surprise: The Complete Story of the Ship Made Famous in the Novels of Patrick O'brianThe Frigate Surprise: The Complete Story of the Ship Made Famous in the Novels of Patrick O'brian
(2009/05/18)
Brian Lavery、Geoff Hunt 他

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このあたりの話は、上に紹介するBrian LaveryとGeoff Huntの好著で詳しく説明されています。実はこの本も、2009年夏にMYSTIC SEAPORTを再訪した時に博物館のショップで買いました。最近アマゾンで本を買うことが多いのですが、やはり手に取って買った本は思い入れが違います。

史実としてのHMSサブライス、フィクションのHMSサブライズ、そして復元帆船としてのHMSサブライズが混在して、少し判りづらいのですが、昨年夏に数多く撮影した写真を何度かに分けて紹介していきたいと思います。

テーマ : 帆船紀行 - ジャンル : 旅行

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