ソレント飛行艇(B.O.A.C Short Solent Flying Boat、1948、VICTORIA FALLS)

BOAC Royal Mail Service

このB.O.A.C(British Overseas Airways Corporation、英国海外航空)の飛行ルート図は、ジンバブエのビクトリア・フォールズ・ホテル(Victoria Falls Hotel)の正面入り口付近の向って左側に描かれています。描かれているのは飛行機ではありません。飛行艇(Flying Boat)です。B.O.A.Cは、ショート・ブラザーズ (Short Brothers plc)製のソレント(Short Solent)飛行艇を英国サウザンプトンから南アフリカ連邦(当時の植民地)のヨハネスブルグに至る定期便に投入したのでした。

BOAC Flying Boat on Zambesi River

上の写真は、16機製作されたソレント(軍用機であるShort Seafordから改造された7機を除く)の内、サウザンプトン(Southampton)の愛称を持つ、アフリカルートで活躍したG-AHIN号機です。1948~49年頃、まさにビクトリアの滝の近くのザンベジ川の駐機場所に停泊(!)している姿です。

B.O.A.Cによるサウザンプトン港(Southampton、飛行艇ですので離陸ではなく離水です)-シチリアのオーガスタ(Augusta)-アレクサンドリア(Alexandria)-ルクソ-ル(Luxor)-スーダンのハルツーム(Khartoum)-ウガンダのポート・ベル(Port Bell)-南ローデシアのビクトリア・フォールズ(Victoria Falls)-ヨハネスブルグ近郊のバール・ダム(Vaaldam)を4日半で結ぶサービスは、1948年5月から開始されまた。商業運行の前のテスト飛行で、ソレント飛行艇が目的地のVaal Damに着水したのは1948年3月10日でした。実際には、英国と南アフリカ連邦を結ぶ飛行艇のサービスは、英国のImperial Airwaysにより1937年から開始されていたのですが、ソレント飛行艇によるフライト・サービスは超豪華版だったそうです。

1948年(昭和23年!)と大戦後間もない頃ですが、ソレント飛行艇は、ダブルデッカー(2階建て)で、全長26.7m、翼幅34.3m、全高10.45m、35トンの大きさで、4発のブリストル・ヘラクレス・エンジン(各1,690馬力)を搭載していました。平均飛行速度は約400km/h、最大飛行距離は2,900km(つまり6~7時間毎に給油する必要があるとのことですね)、乗員の定員が34名に対して、乗組員は7名です。

B.O.A.C Solent

最高飛行高度は5,200mで、多分実際の巡航飛行高度は、現在の飛行機に比べ低かったと思われますので、アフリカ大陸を横断するのに地上の景色が良く見えたのではないでしょうか。

ところで、このソレント飛行艇は、上記のB.O.A.Cのカタログのように、個室、食事室、女性専用の化粧室とか正に空飛ぶスイートルームで、最新鋭機A380のスイート・クラスの比較ではありません。現代のプライベート・ジェットに近い雰囲気でしょう。それに、夜間の飛行はしないので、シチリア泊、ルクソール泊、(現ウガンダの)カンパラ泊、それに最後にビクトリア・フォールズの各地の最高のホテルに宿泊して、5日目にヨハネスブルグに到着するフライト日程です。しかし、寄港地が全て大英帝国の植民地だったと考えると凄いことですね。

結局、ソレント飛行艇の定期航路は、1950年11月がラスト・フライトとなり、その後は、より現代的なハンドレィ・ページ(Handley Page)社製のHermes航空機が、英国-ヨハネスブルグ路線に就航。B.O.A.Cの飛行艇による豪華フライトは、ソレント飛行艇を最後に終焉したのでした。

BOAC_Flying_Boat G-AHIT 1948

ソレント飛行艇は、軍用機から派生したものですが、写真を見るとなにか優雅な雰囲気があります。

さて、この古き良き時代の豪華なソレント飛行艇の乗客が宿泊した、これも歴史的で優雅なビクトリア・フォールズ・ホテル(Victoria Falls Hotel)、それにこの地の主役である、ビクトリア瀑布(Victoria Falls)について次の記事で触れたいと思います。

帆船の話題から全く脱線してしまっていますが、大英帝国の歴史紀行としてお付き合い下さい。

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