ピルグリム(Snow-Brig Pilgrim 1945、その1)

Pilgrim (1) Full View

ピルグリム(Pilgrim)は、ブリッグ(Brig)型の帆船です。オリジナル船は、86.6ft(約26.4m)、180トンの小型帆船で、1825年にボストンのBryant,Sturgis&Co造船所で建造されました。

後にアメリカの著名な海事法律家、奴隷解放運動家となるリチャード・ヘンリー・デイナ(Richard Henry Dana)が、ハーバード大学を中退、水夫となり帆走貨物船ピルグリムに乗りこみました。ピルグリムは1834年にボストン港を出港し、ホーン岬を廻り当時メキシコ領であったカリフォルニアとの密貿易に従事しました。この経験を元に、デイナはTwo Years Before the Mastを出版します。Sailor Before the Mastは、無論、平水夫を意味し、当時の水夫の過酷な環境をディナは克明に記録していたのでした。

Dana Point市は、このRichard Henry Danaから名付けられた地名です。Dana Pointの市章に、ブリッグ・ピルグリムがしっかりとデザインされているのが面白いです。

Dana_Point_city_seal.png

さて、冒頭の写真のブリッグ型帆船は、オリジナルではなくレプリカです。因みにオリジナル船は、1856年に海上での火災により失われています。復元帆船は、1945年にデンマークで建造された3マストの木造スクーナーで、バルト海の沿岸交易に使われていました。1975年にポルトガルで今の姿である2本マストのブリッグ型帆船に改装され、1981年にOcean Instituteのフリートに加わりました。全長130ft(約39.2m)、デッキ長98ft(約29m)、全幅24.6f(約7.5m)、メイン・マストの高さは98ft(29m)です。

中村庸夫氏の著書で30年間に亙り常に僕の手元にある帆船 (1981年) (カラーブックス〈532〉)にこのピルグリムの白黒写真が載っています。この白黒写真から、すっかり鋼鉄製の帆船と思い込んでいたのですが、今回近くで見て初めて木造帆船だと気が付きました。

Piigrim (3) Hull

Ocean Instituteの説明に帆走する見事な写真が掲載されています。ピルグリムには砲門の塗装がされており、ブリック型の帆船であることから、オーブリー艦長の最初の指揮艦だったソフィー(HMS Sophie)を想像します。尤も、HMS Sophieのモデルになったのは、1782年に建造された、全長78.3ft(約23.8m)、全幅25.9ft(約7.85m)のずんぐりとした小さなブリッグ型スループ艦(Brig Sloop)HMS Speedyですので、ピルグリムはHMS Sophieより長くスリムな船体です。

Pilgrim (2) Side View

ピルグリムは、週末のみ見学が出来ます。海賊の衣装を着た貫禄たっぷりのボランティアと思われる女性が、船上に案内してくれます。船上の艤装を大量に撮影しましたので、ピルグリムの細部を何回かに分けて紹介していきたいと思います。

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