サンフランシスコ海洋博物館(San Francisco Maritime National Historical Park)

SFMM Visitor Center

サンフランシスコ海洋博物館のVisitor Centerは、観光客が行き交うJefferson StとHyde Stが交差する角にあります。中はかなり充実した展示内容です。

SFMM Visitor Center Entrance

サンフランシスコの人口が急激に増えたのは、カリフォルニアがメキシコからアメリカ合衆国に割譲された年と同じ1848年に起こったゴールドラッシュが契機ですが、なんと数千人のサンフランシスコの人口が1850年までに、2万5千人以上に膨れ上がったそうです。

1851年のニューヨークーサンフランシスコの処女航海で、89日と21時間の記録を樹立したフライング・クラウドについて以前少し触れましたが、美しいクリッパーシップは下の写真(1850年か1851年に撮影されたそうです)のような喧噪の中で錨を降ろしたのかもしれません。

SF 1851

さて、VISITORセンターの中には、サンフランシスコの造船業についての展示がありました。パネルを見ると、尤も古い造船所は、1849〜1854年、Domingo Marcucci Yardと記載されています。何となく、アメリカの木造帆船というと、ニューイングランドを思い起こしますが、アメリカ西海岸で作られた帆船についても興味が涌いて来ました。

SFMM Visitor Center 4

下の写真は、1853年に撮影されたそうですが、サンフランシスコに到着した帆船に乗り組んでいた船員が金探しに加わってしまったために打ち捨てられた帆船が多く有ったそうです。信じられない程の帆船の数です。

SF 1853 ships

Gold Miners Goods

VISITORセンターに展示されていた金探し道具の展示を見て、フォーティナイナーズ(49ers)に想いを馳せていると、あっという間に時間が過ぎ、なんと海洋博物館のメイン館に行く時間がなくなってしまいました。カタマラン艇のクルーズを終えた後に、Aquatic Park Bathhouse Building (海洋博物館の正式な名称です)に行ってみましたが、博物館は16:00で閉館していたのでした。

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C.A Thayer 1895 (C.A セイヤー、ランバー・スクーナー )その2

CA Thayer 1905 San Pedro

CA Thayer Stern View

2003年1月にサンディエゴ海洋博物館を訪問した時にこの本を買ったのですが、会計をしてくれたボランティアで働いているような感じの初老の女性が、「Jamesのこの本はとてもいいよ。Good Selection」と褒めてくれたことを思い出しました。James A.Gibbs(1922−2010)の労作を手に取り、C.A Thayerを検索してみると、4枚程の写真が見つかりました。この本の巻末資料として記載されている1850年〜1908年にアメリカの太平洋側で建造された100トン以上の500艘余りの木造帆船リストの中で現存しているのは、このC.A Thayerと、1897年に同じ造船家Hans Ditlev Bendixsenにより建造された3本マストスクーナーのWawonaだけです。


Windjammers of the Pacific RimWindjammers of the Pacific Rim
(1997/03)
Jim Gibbs、Phillip Drucker 他

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冒頭の写真は、ロスアンジェルスのSan Pedro港で1905年に撮影されたC.A Thayerのスターン部分です。今回撮影した補修中の姿と比較すると面白いです。

CA Thayer 2

さて、C.A Thayerにはいつマストが立ち本来の姿に戻るのでしょうか。現在は甲板を歩くだけで、船倉にも入れませんが、後部甲板を見ると補修中であることが判ります。

CA Thayer Deck House

よく見ると、大きな帆船模型を作っているような雰囲気です。というよりか、本物もこんな感じで作るのですね。デッキハウスは、4x4ほどの木材が張られていますので、帆船模型に当て嵌めると、仮に1/50の縮尺で、2mm x 2mm程度の角材でしょうか。やはり模型では余程縮尺が大きくないと、オーバーサイズになってしまいそうです。   
CA Thayer Deck House Repair

模型作りを想像すると、マストも索具のないこのスクーナーに俄然興味が涌いて来ます。下の写真は、ブルワーク(Bulwarks)とスタンチョン(Stanchion)を撮影したものですが、スタンチョンの間隔が思ったより狭いですね。

CA Thayer Stachion

この写真は、サンフランシスコ海洋博物館のVISITOR CENTERに展示されている、C.A Thayerの模型ですが、いつか往年の姿に修理されると良いですね。

CA Thayer Model Ship

下に掲載する写真は1903年に撮影されたそうですが、(多分意図的に)浅瀬に乗り上げている珍しい姿です。

CAThayer 1903

次もサンフランシスコ海洋博物館の記事を書いてみます。

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C.A Thayer 1895 (C.A セイヤー、ランバー・スクーナー )その1

CA Thayer 1

サンフランシスコのHyde Street Pierは、2014年7月24日〜8月20日の月曜日から木曜日まで補修工事の為に閉鎖されていました。事前にサンフランシスコ海洋博物館のホームページを見ていたので、事なきを得ましたが。

Hyde Street Pierで先ず目に付くのが、このマストもバウスプリットも外されていますが、真新しい感じの木造のスクーナーでした。馴染みのあるニューイングランドの2本マストの木造スクーナーと比較すると可也大型です。

Clarence A. Thayerと名付けられたこのスクーナーは、1895年にカリフォルニア州のユーレカ(Eureka)付近で、造船家Hans Ditlev Bendixsen(1842 –1902)により建造されました。Bendixsenが生涯建造した帆船は合計115隻にもなるそうですので、19世紀末にも帆船の需要が旺盛だったのですね。

CA Thayer Fore Dech View

C.A Thayerは、全長219ft(約67m)、全幅36ft(約11m)、453トンのサイズです。長さだけみると、なんと
USS Constitutionの全長204ft(62 m)と略同じです。無論、44門艦のコンスティテューションとは幅(43.6ft)が違いますが、C.A Thayerの大きさが想像できると思います。

この3本マスト・スクーナーは、木材運搬船として建造されたので、広いデッキの意味が判りますが、下の写真のような当時はなんと、デッキから3mもの高さに木材を積み上げて帆走していたそうです。

CA Thayer

C.A Thayerは、1895年から1912年の間、ワシントン州のグレイズ・ハーバー(Grays Harbor)で積み込んだ木材をサンフランシスコに運搬する業務に従事しました。この帆船のクルーは、合計で8〜9人程度だったそうです。クルーはスクーナー運行だけではなく、木材の積み降ろしもしたそうですので、オーナーにとっては低コストのビジネスでしょうが大変な職場ですね。

CA Thayer from SB

木材運搬が、汽船に取って替わられると、今度はC.A Thayerは、1912年〜1924年にアラスカ向けのサーモン貿易に従事しました。その後、第二次世界大戦の前まで、今度はベーリング階のタラ漁に従事して、長い現役時代を過ごしたそうです。

船体が真新しく見えるのは、2003〜2007年にかけて、船体の85%の木材を入れ替える大規模な補修が行われたためです。補修に使われた木材は建造当時の材料と同じ、Douglas Fir(米松)だそうです。

CA Thayer 3

C.A Thayerは地味な帆船ですが、調べて行くと興味が尽きません。次の記事に続けます。

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カリフォルニアン(Schooner Californian) 1984 (後編)

Californian 1

上の写真は、ヨット・アメリカに乗っていた僕たちが洋上でカリフォルニアンとすれ違った時の光景です。帆船は帆走している姿が一番美しいですね。「Catalina Kayaking plus Adventure Sail」というティーンエージャー向けのプログラムでカリフォルニアンが縦帆を揚げて出航する光景です。お互い大きな音で霧笛を鳴らしエールの交換をしました。カヤックを後部甲板に満載していて、楽しい冒険に出る雰囲気が伝わってきました。

Californian 3

帆船パレードとかでは無い限り、帆船が帆走する姿に巡り会えるのは運次第です。普通は、下のような帆を下ろした姿を見ることになるのですが、これでも洋上から全景を見ているのでラッキーかもしれません。通常、停泊中の帆船を埠頭から見ても全体も姿を見るのは困難がことが多いのです。

Californian 4 (Stern)

カリフォルニアンは、サンディエゴのSpanish Landingで1984年に進水しました。ロサンジェルス・オリンピックに合わせて建造されたそうです。余談ですが、ロス五輪は、30年近く前の出来事なのですね。つい先日のような気がしますが。さて、カリフォルニアンの大きさは、全長145ft(約44.2m)、全幅24ft(約7.3m)、130トンと長く低い船体です。片側に4門の砲門があり、19世紀の帆船の雰囲気満点です。

Californian 7 (Bowsprit)

このスクーナーはシンプルな印象を受けますが、細部をよく見ると大変に美しい帆船であることが分かります。上の写真はフィギュアヘッド部分で、余りにも船体が低いので見下ろすような写真になってしまっていますが、見事な唐草模様です。なかなか見応えがある帆船です。

さて、次は世界で2番目に古い航海が可能な帆船を紹介します。無論、最古の帆走可能な船は、この帆船ですので、その次に古い帆船です。

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カリフォルニアン(Schooner Californian) 1984  (前編)

Californian 2

南カリフォルニアに旅行するのであれば、外せないのがSan Diego Maritime Museum(サンディエゴ海事博物館)ですね。北米でと云うよりかは世界でも有数の魅力的な海事博物館です。なんといっても、マスター・アンド・コマンダーの映画に登場したHMSサプライズが、2004年にこの博物館のコレクションに加わってからは尚更です。前回、僕がサンディエゴに来たのは2003年1月でした。

さて冒頭の写真は、美しいトップスル・スクーナーカリフォルニアンです。この2本マスト見事な帆船は、1848年に建造され、西海岸で活躍した(?)、税関監視艇(Revenue Cutter)、C.W. ローレンス(C.W.Lawrence)の復元帆船です。

Californian 5 (Bow)

2本マストのトップスル・スクーナーというと、プライド・オブ・ボルティモアを思い起こしますが、マストの傾斜角度も異なり少し趣きが異なります。

Californian 6 (deck)

上の写真は前部から中部甲板を撮影したものですが、ほぼ毎日航海に出る現役帆船なので、整備されていて見ていて気持ちが良いです。よく見ると小さな大砲も備え付けてあります。モデルとなった米国沿岸警備隊に所属していたC.W.ローレンスは、32ポンド砲 x 2門、18ポンド長砲 x1門、6ポンド砲 x 2門と、僅か144トンのスクーナーにしては即戦状態ともいえる大変な重装備でしたが、歴史を顧みるとC.W.ローレンスが就役したのは、1848年10月で、米墨戦争が終わった直後、更にゴールドラッシュが始まった時期に重なりますので、イメージが湧きます。

Carifornian 8 (Mast)

マストを見上げると、濃紺の空を背景にフォア・マストにカリフォルニアの州旗、メイン・マストに船名旗が靡き良い感じです。因みに米国沿岸警備隊の資料によるとC.W.ローレンスの艤装はブリック型だったそうですが。この資料には、C.W.ローレンスの船歴が詳しく説明されていますが、東海岸からケープホーンを廻り、サンフランシスコに到達するのに11ヶ月も掛かったり(この航海のほん2年後にフライング・クラウドが89日21時間でニューヨーク・サンフランシスコ間を帆走しているのとは対称的です)、サンフランシスコに到着した途端、船員はおろか士官迄、船を降りて金探しに加わったりと良いことがありません。漸く、再艤装を整えて航海に出たのが1850年になってからで、その後にハワイに航海していますが、結局1851年11月にサンフランシスコ湾で難破して僅か3年程の短い生涯を閉じることになります。

写真が増えてきてしまいましたので、スクーナー・カリフォルニアンは後編に続けます。

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